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様々なマイノリティの存在を知ってほしい!

こんにちは!日野市の職員Mです!
家庭で、学校で、会社で、あるいはSNSで、自分の気持ちとは関係なく、型どおりの「男らしさ」「女らしさ」を求められて、生きづらさを感じたり、モヤモヤしたことはありませんか?
今回は、セクシュアルマイノリティの当事者である斉藤あきのさんが生きづらさを感じながらも、“ありのままの自分で過ごしてもいいんだ”と思えるまでのストーリーをお話しします。


セクシュアリティへの違和感は小学3年生

斉藤さんは日野の大学を卒業し、現在は多摩地域で働いています。また、「パンセクシュアル」と「ノンバイナリー」の当事者(※)でもあり、大学在学中から地域活動に参加。今でも日野の小学校で子どもたち一人ひとりが多様性や違いについて考えるきっかけづくりに取り組んでいます。

※「パンセクシュアル」…すべての性別の人を好きになるセクシャリティ。
※「ノンバイナリー」…身体の性に関係なく自身の性自認や性表現に「男性」「女性」といった枠組みを当てはめようとしないセクシャリティ。

斉藤さんはご自身の経験を踏まえて、性の多様性について小学生に分かりやすく発表しています

斉藤さんが自分と他の子が何か違うと違和感を抱き始めたのは小学3年生くらい。小学生は段々と自分の性を意識する時期で、男の子・女の子の仲良しグループで遊んでいて、ぎくしゃくしてしまうこともあったようです。

「ある日、女の子の友だちから、『あの男の子と遊んでいることが多いけど、好きなの?』と聞かれたんです。私は男女関係なく、仲良くしているだけなのに、何がおかしいんだろうと思いました。女の子同士で恋バナをする時も話を合わせなきゃと思い、でたらめに○○君が好き、と話すこともあったなあ。」


小学校の入学式。幼い頃から男の子といることが多かったそうです

その後、中学生になった斉藤さんは吹奏楽部に入り、女性の先輩を好きかもしれないと思うようになったそうです。

「吹奏楽部を選んだのは、実は運動が苦手で…(笑)。上下関係が厳しい部活だったのですが、女性の優しい先輩がいたんです。段々とその先輩を可愛いな、好きかもしれないなと思うようになりました。でも、女の私が、女性の先輩を好きになるなんて絶対おかしい、そんなことはあり得ないと思いました。だから、私が男性だったら、この人のことを好きになっていたな、と思うようにしていました。」

中学3年生の斉藤さん
吹奏楽部でマーチングをするときは伸ばしていた髪をまとめてお団子にしていた
この時は髪の長さは気にならず伸ばしていた

高校生になった斉藤さんは髪の毛が短い方が生活していて楽ということに気づき、ベリーショートカットでツーブロックにしましたが、高校では、男子はツーブロックにしてはいけないという校則があったそうです。女子の私はツーブロックにしても許されるのに、男子はツーブロックにしてはいけない、というのはおかしいのでは?と思うようになったと言います。

また、他人の何気ない言葉に傷つき、自分の性がどうあるべきか混乱し始めます。斉藤さんはある日、髪の毛を人生で一番短くしようと決意しました。

「私は、美容院で担当していただいた美容師さんから、そんなに短くするっていうことは“女の子が好きなの?”と冗談のように聞かれて、“そんなことないですよ”と答えたら、“じゃあ別に短くしてもいいね、それなら問題ないね”と言われることがありました。
おそらく、美容師さんは、当たり障りのないの会話のつもりだったと思うのですが、結構ショックでした。」

高校2年生の斉藤さん
髪の毛は短い方が楽だと思うようになり、人生初の短い髪型に挑戦! 

こういった出来事から、斉藤さんは女性が女性を好きになるのはおかしいから、男性になったほうがいいのかなと悩むようになります。

違うことが強みだと確信する

斉藤さんはモヤモヤした気持ちを抱えながらも、大学進学のため上京することに。上京後は、大学で自分と同じような悩みを持っている方との出会いがあり、少しずつ斉藤さんの心境が変化していきます。

「地元に住んでいた時は、他の人と少しだけでも違うと、出る杭打たれる、という感じだったのですが、やっぱり大学生になると、違うことが逆に強みになるんだなと思いました。いろんなバックグラウンドの人が集まっているから、みんな違うことがいい、となるのかも。

2019年には、セクシュアルマイノリティに限らず、外国籍、障害など、いろんなマイノリティの方がいるよ、という理解を広げていけたらと思って、マイノリティについて学習するサークルを立ち上げました。」

私がカミングアウトした理由

その後、家族にもカミングアウトをし、今では日野市でLGBTQ+について知ってもらう活動をしている斉藤さん。
こういった活動をしているのも、同じ悩みを持つ大学の先輩のある言葉がきっかけだそうです。

「私が大学1年生の時に、“LGBTQ+の児童・生徒が抱える問題に対する教職員の対応”というテーマで卒業論文を書いた先輩がいて、その先輩からいろんな気づきを得たんです。
先輩は『周りの友だちには、学校現場でのマイノリティの対応は重要ということは分かるけど、その友達は当事者に会ったことはないから、わざわざ取り上げるテーマでもないんじゃないかなと言われたんだよね。私はセクシュアルマイノリティの当事者なのに、その友達にはないものにされたような気がして悲しかったんだ。だから、わたしたち当事者が声を上げていかないと、ずっといないもの扱いされてしまうんだよ。』と言っていて、すごく共感したんです。
私が、高校の校則で感じた違和感も声に出して言わないと、学校現場は変わっていかないし、社会も変わっていかないと気づかされましたね。
それからは、私は、自分のことをオープンにして、マイノリティ当事者として活動を始めました。
自分のことをオープンにしていくことで、自分も実は…と相談してくれる友だちもたくさんいて、この活動は自分だけではなく、周りにもいい影響を与えているんだなと実感しました。」

みんなが生きやすい社会にするために

最後に、斉藤さんに今後についてお伺いしました。

「私は以前、母にカミングアウトをしたときに、母にはショック、と言われたんです。カミングアウトしてからも普通に接してくれていましたが、カミングアウトしてから1年間は、その話題には触れられることはなかったです。
しかし、カミングアウトしてから1年が経ったある日、母から、先日地元で開催されたLGBTQ+の講演会に参加してきたという話を聞きました。母は、世代的に理解できないことも多いから、ちょっとずつ勉強してみようと思っているんだよ、と言ってくれました。自分の親しい人が理解しようとしてくれて、すごく嬉しかったんです。

ただ、私のように家族に受け入れてもらえる家族もいれば、同性愛者を否定している家族の姿を見て、家族にカミングアウトできない、という友だちもいます。
でも、同性婚が実現しても、誰も困らないですよね。それが実現しても、異性愛者の人たちの生活が変わるわけではない、と私は思います。
車椅子の人が通りやすい道をつくれば、みんなが通りやすくなると思います。そういった一つひとつの問題を解決していけば、みんなが生きやすくなるのではないかと思います。
LGBTQ+を皮切りに、様々なマイノリティの方たちのことを知ってもらえるよう活動を行っていきたいと思います。」

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最後までご覧いただきありがとうございます☺
私がnote発信を行おうと思ったきっかけも、多様な方が地域にいることを知ってもらいたいという思いからでした。
多様な方がいるということを知ると、視野が広がり、今より自分の生活が豊かになると思うんです。
斉藤さんのように、人それぞれの幸せを認め合える社会の実現に向けて、これからも様々な方のストーリーを発信していきたいと思います!

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