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自然を通して人が繋がってゆくーー次世代に引き継いでいきたいこと

こんにちは!日野市の職員Mです!

高幡不動駅から車を15分程走らせると、緑深い山々が一気に近づいてきます。広々とした田園やかかしが私たちを迎えてくれます。
まるで絵本に出てくるような、どこか懐かしい気持ちになる素朴な風景。
この美しい里山の風景は、そこに住む人々が日々手入れをしていることによって成り立っています。

今回は豊かな里山の自然を守りつつ、人との繋がりも大切にしている「倉沢里山を愛する会」の会長の田村はる子さんと副会長の伊東晴雄さんにお話を聞きに行きました。

副会長の伊東晴雄さん(写真左)と会長の田村はる子さん(写真右)

自然の貴重さに気づいた

「倉沢里山を愛する会」には“緑を守り楽しみながら活動する”をモットーに約200人以上の会員が活動しています。
会員の皆さんは草刈りや落ち葉掃きなど林の維持や稀少な動植物の保護活動に汗を流しながら、森林の空気を吸ってリフレッシュしています。作業後はお手製の椅子に座りながら楽しいひとときを過ごしているそうです。

木の切り株に座りながらお話しするのも
楽しそう


田村さんに活動のきっかけを伺いました。

田村さん
「倉沢里山を愛する会の活動場所は、わたしの生まれ育った場所です。
以前、さまざまな環境に恵まれた里山は、植物や動物にとっても豊かな環境だったので、生きものたちのにぎわいがありました。
ところが、高度経済成長期になると人口増加や都市部への産業集中に伴い、周辺が開発され宅地化し、当たり前にあった自然環境が失われていきました。わたしは自然の貴重さに気づき、なんとかこの環境を残していきたいと考えました。そんな時、この倉沢里山の相続問題が発生しました。
しかし、山や森の相続は難しく、市との交渉を経て、公有地として残していくことになりました。
今は体調を崩してしまい、活動はしていませんが、主人の田村裕介が先頭に立ち、一緒に自然保全に向けて動き出しました。」

自然があるから人と繋がれている

現在は、会が発足されてから22年経ち、200名以上の会員がいるそうですが、もともとは8名から活動が始まったそうです。

田村さん
「この活動をもっと広めていきたいと思い、近所の方にもお声がけしたら、一人、また一人とだんだんと増えていき、今の会員数になりました。

きっとこの里山の自然が素敵な人を呼び寄せてくれているんだと思います。
そして、素敵な人が口コミで素敵な人を呼び寄せてくれているのかもしれません。」

伊東さんも会員の方からの口コミで入会した1人だと言います。

伊東さん
「20年前に都内の他自治体から日野市に引っ越してきました。以前住んでいたところよりも自然が多いところで、庭いじりをしたくて。

わたしは20代まで住んでいたところは町工場が多く、そこからは黒煙、ガスが放出されて、喘息になりました。
空気が本当に汚くて、周りにある自然といえば、神社の林くらいでした。
その時に定年後は絶対に自然を感じられる場所に住もうと考えました。

倉沢里山を愛する会は会員の方に教えてもらったことをきっかけに入会しました。引っ越してきたばかりで知り合いも少なかったので、会に入っていろんな方とお話ししながら、活動できたのも嬉しかったです。草刈りの作業は大変だけど、稀少な植物を見つけると嬉しいですよね。」

次の世代に繋げていきたい

最後に田村さんに10年後どうなっていたいか聞いてみました。

田村さん
「10年後もみんなとおしゃべりしながら楽しく自然を守り、生かしていきたいです。里山の風景を維持するためには定期的な手入れをする必要があります。植物の専門的な知識を持っていないと、稀少な植物まで刈ってしまうこともあるため、注意を払って活動する必要があるんです。今後は、自分がもっている植物の知識を他の会員や若い世代にも伝えていき、この里山を別の形で守っていきたいと思います。

あとは、助け合いのコミュニティが維持されていれば嬉しいです。
以前、わたしが病院行くときに会員の方が連れて行ってくれてとても助かりました。
この辺の地域は高齢の方が多いのですが、みんなで助け合って暮らしていこうという雰囲気があります。
私も何かできることがあれば、やっていきたいなと思います。」

田村さんが稀少な植物を見つけ
説明してくれました

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この活動を次世代に繋げていくことはすごく大変なことだと思います。
でも、お二人や会員の皆さんが誰よりも楽しんで活動しているからこそ、多くの人を巻き込んで、22年間里山の自然を維持できたと思います。
楽しそうにしている人と豊かな自然の周りには不思議と人が集まるもの。
これからもこの活動に興味を持ってくれる人が少しずつ現れて、豊かな里山の自然がいつまでも続いていきますように。